2019.05.01
ウェストチェスター・ニューロッシェルの大学で結核発生
2019年4月16日、ウェストチェスター郡ニューロッシェル(New Rochelle)のモンロー大学(Monroe College)の学生が結核と診断されました。現在学生は治療を受け、完治する見込みで、学生と接触した教職員やその他学生に対して無償で結核の検査を実施しているとのことです。
結核とは?
結核は英語で“Tuberculosis”といい、結核菌による感染症です。とても感染力が強く、主に咳などからの飛沫により感染します。そのため結核は肺に感染することが多いのですが、他の器官 ( リンパ節、骨や関節、皮膚、脳 ) などにも感染します。特に脳に感染した場合は深刻な症状をとなり、結核性髄膜炎による死亡率は約3割と高く、脳に重篤な後遺症が残る症例も多いと言われています。
結核の現状
結核は現在でも多い感染症で、世界の10大死因の一つに数えられており、感染症としては世界最大です。WHOによると、2016年には全世界で1040万人が結核にかかり、約170万人が結核で死亡しました。インド、インドネシア、中国、フィリピン、パキスタン、ナイジェリア、南アフリカ共和国の7か国で、全体の64%を占めています。
米国では結核「低蔓延国」BCG予防接種せず
米国では予防接種を一般的に行っていませんが、日本では児童を対象にBCG(Bacille Calmette-Guerin、結核のワクチンを開発した研究者の名前を冠した菌)予防接種を実施しております。厚生労働省のWEBサイトによると、乳幼児期にBCG接種を行うことで結核の発症52~72%程度、重篤な髄膜炎や全身性の結核に関しては64~78%程度予防することができると報告されており、効果は10-15年続くとされています。
なぜ米国ではBCG予防接種が一般的に行われていないのでしょうか。理由は日本程結核が多くないためです。WHOのデータによると、結核の届出は米国では10万人に3.1人ですが日本では15人と多く、日本は結核の「中まん延国」とされています。*
過去にBCG予防接種を受けていると、米国の学校入学時に必要となるツベルクリン検査(結核菌感染の有無を知る一つの検査法)が陽性となることがあります。この場合潜在的な結核であることが疑われ、更なる検査や抗菌薬の服用を求められることがございます。
*WHO Global Tuberculosis Report
https://www.who.int/tb/publications/global_report/en/
結核の症状
肺結核を発病した初期段階では咳、痰、発熱、倦怠感など風邪と同じような症状となりますが、結核の場合その症状が良くなったり悪くなったりと1~2週間以上続きます。
また、感染してもすぐに発病するとは限りません。体力が低下したり他の病気になって免疫力が低下したりすると、結核菌が活動をはじめ、発病をする可能性がございます。
ここと当たりがある方は医療機関を受診頂くことをお勧め致します。
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